どんな技術を学びたいですか?という問いに多くの愛好者が希望しているのが「ロブショット」「上げ球」です。今までパークゴルフ界の常識として「あげ球は危険だ」、「あげ球は難しい」、「そんなの君には10年早い」などと言われメインに取り上げてこなかったのが現実。
はたして、「あげ球」は、危険で、難しく、経験を充分に積んだプレーヤーにだけ許される秘技・奥義なのでしようか?
今回は北海道千歳市パークゴルフ協会指導員の小松貴さんにご指導いただき、小松流ロブショットで「ラフからのカンタン脱出法」を自分のものにしましよう。
「ロブショット」とは何でしよう?
ラフに入ってしまいフェアーウェーの良いポイントまで出す時などに有効な、ボールを上げ打ちする技術。通常のアプローチショットでは、ラフ・バンカー越えなど狙いの近くにボールを寄せることが出来ない時でも、ロブショットが打てれば狙い通りに寄せていくことができる。
「よし、それならロブショットを打つ!」と言って、大勢の中で、何もわからないまま打つことは、危険な行為であり「あげ球は危険だ」「あげ球は難しい」といわれてしまいます。小松流ロプショット理論を理解し、技術を身に着けることができれば方向性が安定し、自信をもって挑戦することができます。
危険なロブショットと安全なロブショットの違い
危険だといわれているロブショットは、ライナーも一緒で、力任せに打ってボールを上げよう・・飛ばそうとすることであり、力んで変な方向へ打ってしまうなどのショットを指します。また、飛距離を出すハイライナーとは別物で、軽く打ってショート・ミドルを使い分けるのに必要な技術であることを理解してください。
基本的にはロプショットはライナーに比べて距離がでない打ち方です。ですから全て「上げるボール」が危険ということではないのです。(上げること自体が危険ならばライナーのほうが強い打球なので危険なはずです)
まずは、認識の違いを確認しましよう。
小松流ロブショット理論
普通に打って自然に上がる状態であれば危険にはなりません。それを少し工夫することで高さを変えることもできます。自分の身体を信じてリラックスして打っていれば、飛んでゆく方向性が大体定められるので、変な方向へ飛んでゆく心配もありません。腰を使うショットはシニアプレーヤーには腰への負担が強く腰痛につながります。小松流ロブショットは肩を基本にして回すと自然に腰は付いてくる。意識して回すのではなく無意識で回る状態であれば腰への負担を軽減することができる。身体は自然な動作には連動できる点を利用することで、やさしいスイングを身に着けること。これが小松流ロプショットの真髄です。
第一ステップとして、構え等難しいことを問題にせず、いかに楽に打てるかを意識しましよう。力を抜いてどこまで飛ばせるか、そんな練習はあまり経験がないでしようが、力めば力むほど、ヘッドスピードは上がりません。つまり飛距離も出せなくなります。そして重要なことは、いかにヘッドの志でボールを捕えるかにあります。小松流は、オフセット打法による志の確実なとらえ方がポイントになります。目標方向に対して真後ろにクラブをセットするのではなく、スイングライン上のボールの後ろにフエースをセットするところが小松流ロブショットの重要なポイントです。
スタンスとボールの位置
基本スタンスは目標方向に対しオープンに構えます。(写真1)
つま先ラインに対して平行のスイングラインでスイングします。目標方向に対してアウトサイドからクラブが下りてくるため、フェース面が自然と上を向き、意識しなくてもボールを上げることができるというのが基本的な小松流理論。オープンに構えることで、スタンスに対してボールは左足前方にセットされているように見えますが、実はスタンスの真ん中線上にセットされています。
(左足を少し開くスタンスの場合は左足かかと線上、左右の足を平行にスタンスする人はほぼ中心)スクエアスタンスでクラブの構えはオープン(スクエアオープンスタンス)スイングの動作でボールをあげるのではなく、物理的に自然にボールが上がるように構え、余計な力を使わずにスイングをすることが小松流ロブショットの真髄です。(写真2/つま先ラインとスイングラインが平行なことに注目)
グリップと方向性
スイング軌道が目標方向に対してアウトサイドから下りてくることで、気になるのがショットの方向性。方向性を安定させるために意識することは、左手の甲の向き、基本的なグリップの形に合わせて握れば、左手甲の向きとクラブのフェース面は同じ方向を向きます。(写真3)
インパクトの瞬間に左手甲の向きを目標方向へ向けることを意識することがポイント。左手甲の向きに狂いを生じさせる原因が右手の力み、小松さんの右手のグリップは左手親指を完全に右手の中心で包み込むことで右手に余計な力が加わるのを防いでいます。(写真4〜7)
インパクトの瞬間、グリップに余計な力が加わることで、アドレスのときにセットしたフェースの向きに狂いが生じてしまいやすくなるため、常にリラックスして力を抜いたスイングをすることが安定したロプショットにつながります。
脇の締め方
肩を前に持ってくるだけで自然に脇は締まります。手(リーチ)が伸び、脇がきまり、腰を使わないで肩で回せば良いので、腰の負担か掛からない身体に優しいスイングにつながります。(写真8〜10)
注意点
スライス回転が掛かりやすい状態になるので、イメージしている軌道よりも右方向へ出やすくなります。小松さんいわく「狙う方向を寄せから1m位左方向へずらすイメージで目標をセットすると丁度良いくらい」。実際に打ってみて微調整をしてください。
身体に負担を掛けないこの打法は、散歩感覚で何ホールでも挑戦できそう!まずコースに出て実際にやってみましよう!あの「秘技」ロブショットは、もう貴方のものです。
技術指導/小松 貴 氏
プロフィール(2012年現在)
北海道千歳市在住、パーク歴19年目の千歳市パークゴルフ協会指導員。「楽しくなければパークじゃない」をモットーに目指すは、優しさと厳しさを備えたパークゴルファー。身体への負担が掛からない「やさしいロブショット」等を、若年層や初心者を中心に判りやすく指導。パークゴルフ普及拡大のため、終わりなき技術向上の追求に挑戦している。通称:ロブショッターTAKA